同じ「おなかの不調」でも、その背景にある体質は人それぞれです。東洋医学では、過敏性腸症候群(IBS)のおなかの不調を、肝(ストレス)・脾(胃腸)・腎(生命力)のバランスから捉え、体質のタイプ(証)を見分けて全身から整えます。この記事では、IBSを東洋医学の「証」で読み解く4タイプを、特徴・背景・使うツボとともに解説します。

このページを要約すると
- 東洋医学では、IBSを肝(ストレス)・脾(胃腸)・腎(生命力)のバランスの乱れとして捉えます。
- おなかの不調は大きく肝脾不和・脾胃虚弱・脾腎陽虚・気滞の4タイプ(証)に分けられます。
- 「ストレスで下痢」「冷えると早朝に下痢」「張って便が出にくい」——あらわれ方でタイプが異なります。
- 鍼灸では、タイプに合わせてツボを選び、脳と腸のやりとりを落ち着け不調の起きにくい状態へ整えます(効果には個人差)。
⚠️ まず医療機関の受診を
血便・原因不明の体重減少(半年で3kg以上)・発熱・夜間の腹痛や下痢・貧血・50歳以降で急に始まった不調などを伴う場合は、大腸などの病気の可能性があります。まず医療機関(消化器内科)を受診してください。IBSは、大腸などの病気がないことを確認したうえで診断される「機能性」の不調です。鍼灸は、その検査・治療とあわせて行う補助的なケアです。
東洋医学でみるIBS「肝・脾・腎のバランス」
東洋医学では、IBSのおなかの不調を、ストレスに関わる「肝」、消化吸収をつかさどる「脾(胃腸)」、身体の土台となる「腎」のはたらきのバランスで捉えます。ストレスで「肝」の巡りが滞ると胃腸(脾)の働きが乱れ、腹痛や便通の乱れが起こる——この「肝」と「脾」の関わりは、現代医学でいう「脳腸相関」とも通じる考え方です。
だからこそ、おなかの不調そのものだけでなく、なぜ不調が起こりやすいのか——その体質(証)を見分けて全身から整えることを大切にします。
IBSの4タイプ(証)
① 肝脾不和タイプ(ストレス・気の滞り)
特徴:腹痛(排便・排ガスで軽快)、下痢と便秘をくり返す、お腹の張り、抑うつ・不眠を伴いやすい。緊張・ストレスで悪化する。
背景:ストレスで「肝」の気が滞り、胃腸(脾)の働きを乱した状態です。IBSでもっとも多いタイプのひとつです。
使うツボ(例):合谷・太衝・肝兪・百会で気の巡りを整え、足三里・太白・脾兪で胃腸を、天枢・大巨・大腸兪・次髎で便通を調えます。
② 脾胃虚弱タイプ(胃腸が弱い)
特徴:慢性的な軟便、食後の不快感、食欲不振、疲れやすさ、顔色のさえなさを伴いやすい。
背景:もともと胃腸(脾胃)が弱く、消化吸収の力が不足した状態です。冷たいものや食べすぎで悪化しやすいタイプです。
使うツボ(例):足三里・太白・脾兪・胃兪・中脘・天枢などで、胃腸を健やかに整えます(補法)。
③ 脾腎陽虚タイプ(冷え・消耗)
特徴:早朝の下痢(五更泄)、お腹や手足の冷え、頻尿、だるさ、意欲の低下を伴いやすい。
背景:身体を温める力(脾腎の陽)が不足した状態です。冷えや加齢、慢性化した下痢に多いタイプです。
使うツボ(例):足三里・太白・脾兪で胃腸を、腎兪・関元(灸)・太渓で温めて補い、天枢・大腸兪で便通を調えます。
④ 気滞タイプ(お腹の張り・ガス)
特徴:お腹の張り、ガス、便が出にくい、残便感を伴いやすい。便秘型・混合型に多い。
背景:気の巡りが滞り、腸の動きがうまく進まなくなった状態です。
使うツボ(例):太衝・合谷・天枢・大巨・上巨虚・期門などで、気の巡りを促します。
あなたはどのタイプ?(かんたんチェック)
- ストレスで腹痛・下痢と便秘+抑うつ・不眠 → 肝脾不和タイプ
- 慢性的な軟便・食後の不快感+疲れやすい → 脾胃虚弱タイプ
- 早朝の下痢+お腹や手足の冷え → 脾腎陽虚タイプ
- お腹の張り・ガス+便が出にくい → 気滞タイプ
実際には複数のタイプが混ざることも多く、カウンセリングで舌や脈、生活の状態を確認しながら見極めていきます。
鍼灸では体質に合わせて整える(弁証論治)
このように、東洋医学では「なぜおなかの不調が起こりやすいのか」という体質の背景を見分け、その人に合わせてツボを選びます。これを弁証論治といいます。お腹や背中のこわばりをゆるめ、自律神経を整えることも大切にします。
📊 研究データ(ポイント)
- IBSに対する鍼治療を扱ったコクランレビューでは、薬物療法と比較した複数のランダム化比較試験の統合で、鍼治療群のほうが症状改善に効果があったと報告されています[1]。
- 近年のシステマティックレビューでも、鍼・灸はIBSに対して有益な可能性が示唆されています[2]。
📖 IBSの鍼灸の全体像は、藤沢でIBSの鍼灸なら(専用ページ)もあわせてご覧ください。
※ 効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。まず消化器内科など医療機関での検査を前提とします。
よくある質問
Q 自分のタイプは自分で分かりますか?
Q 下痢型でも便秘型でもタイプ別の鍼灸を受けられますか?
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IBS鍼灸 専用ページを見る インヤン藤沢で今すぐ予約する※本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療を保証するものではありません。効果には個人差があります。血便・原因不明の体重減少・発熱・夜間の腹痛や下痢などがある場合は、まず医療機関(消化器内科)を受診してください。お薬の調整は主治医とご相談ください。
参考文献・出典
- Manheimer E, et al.「過敏性腸症候群(IBS)に対する鍼治療」Cochrane Database of Systematic Reviews 2012
- Qi LY, et al.「IBSに対する鍼灸:システマティックレビューのアンブレラレビュー」Complementary Therapies in Medicine 2024
- 矢野忠ほか、過敏性腸症候群の東洋医学的弁証(肝脾不和・脾胃虚弱・脾腎陽虚・気滞)と選穴に関する成書
監修:中澤 和巳(あん摩マッサージ指圧師・臨床10年)
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