東洋医学からみた不妊(妊活):腎虚・瘀血・肝鬱気滞と鍼灸

「なかなか授からず、気持ちばかり焦ってしまう」「体を整えたいけれど、東洋医学ではどう考えるの?」——妊活を東洋医学の視点から、やさしくご案内します。腎虚・肝鬱気滞・瘀血といった体質タイプの考え方と、鍼灸で整える方向を、藤沢の鍼灸院が分かりやすく解説します。

東洋医学からみた不妊(妊活):腎虚・瘀血・肝鬱気滞と鍼灸|藤沢の鍼灸

このページを要約すると

  • 東洋医学では、子宮の土台となる「衝任・胞宮」を支える「腎」の力と、血の巡りを大切にします。
  • 体質タイプは腎陽虚(冷え)・腎陰虚(のぼせ・乾き)・肝鬱気滞(ストレス)・瘀血(巡りの滞り)・痰湿・気血両虚など。
  • 治法は補腎・疏肝・活血・温陽。三陰交・関元・腎兪・太衝などのツボを使い分けます。
  • 鍼灸は、冷え・自律神経・月経の状態を整える身体づくりの補助という位置づけです。
  • 不妊治療は婦人科・専門クリニックが主軸。まずご夫婦での検査が大切です。

子宮の土台「衝任・胞宮」と「腎」の関係

東洋医学では、妊娠にかかわる子宮のはたらきを「胞宮(ほうきゅう)」、そこへ気血をめぐらせる大切な通り道を「衝脈・任脈(衝任)」と呼びます。この土台がしっかり満たされ、あたたかく、よくめぐっている状態を、東洋医学では大切にします。

そして、この土台を根っこから支えているのが「腎(じん)」です。腎は、いのちの根本のエネルギー(腎精)をたくわえ、成長・発育・生殖にかかわると考えられています。腎の力が充実していると、月経のリズムや身体の温もりが整いやすく、逆に腎の力が不足すると、冷えや疲れ、月経の乱れとして現れやすくなります。

つまり東洋医学では、「腎の力(土台)」と「血の巡り(衝任・胞宮のめぐり)」を整えることを、妊活の身体づくりの中心に置いて考えます。

妊活の体質タイプ(弁証)

東洋医学では、同じ「妊活」でも、その方の身体の状態(証)は一人ひとり違うと考えます。代表的なタイプを、平易にご紹介します。実際は複数が重なることも多く、あくまで体質を見る「ものさし」としてご覧ください。

腎陽虚(じんようきょ)— 冷えタイプ

身体をあたためる力が不足し、下腹部や腰の冷え・手足の冷え・疲れやすさなどが出やすいタイプ。土台をあたためて力を補う(温陽・補腎)方向で整えます。

腎陰虚(じんいんきょ)— のぼせ・乾きタイプ

身体をうるおす力が不足し、のぼせ・ほてり・寝汗・口や肌の乾きなどが出やすいタイプ。うるおいを補い、土台を養う(補腎・滋陰)方向で整えます。

肝鬱気滞(かんうつきたい)— ストレスタイプ

ストレスや緊張で気のめぐりが滞り、イライラ・張るような痛み・気分の波・月経前の不調などが出やすいタイプ。滞りをのびやかにめぐらせる(疏肝理気)方向で整えます。妊活の焦りやプレッシャーとも関わりやすいタイプです。

瘀血(おけつ)— 巡りの滞りタイプ

血のめぐりが滞りやすく、刺すような月経痛・経血のかたまり・肩こり・くすみなどが出やすいタイプ。めぐりをよくする(活血化瘀)方向で整えます。

痰湿(たんしつ)・気血両虚(きけつりょうきょ)

痰湿は、余分な水分や巡りの重さがたまりやすく、身体の重だるさやむくみが出やすいタイプ。気血両虚は、エネルギー(気)とうるおす血の両方が不足し、疲れやすさ・顔色のさえなさ・月経量の少なさなどが出やすいタイプです。それぞれ、めぐりを整える・気血を補う方向で身体づくりをしていきます。

治法とツボ — 補腎・疏肝・活血・温陽

体質タイプに合わせて、鍼灸では大きく次のような方針(治法)で身体を整えていきます。ツボは体質やその日の状態を診て選び、組み合わせて使います。

  • 補腎(ほじん)・温陽:土台の力をあたため補う。関元・腎兪・太渓など。冷えが気になる方に。
  • 疏肝(そかん)理気:ストレスによる気の滞りをのびやかに。太衝・内関など。
  • 活血(かっけつ):血のめぐりを助ける。血海・三陰交など。
  • 気血を養う:エネルギーとうるおいを補う。足三里・三陰交など。

なかでも三陰交は婦人科の妊活ケアで大切にされるツボのひとつで、関元腎兪とあわせて、下腹部や腰をあたため、めぐりを整える目的でよく用います。お灸で心地よくあたためることも多く、ご自宅でのセルフケアにも取り入れやすいツボです。

ご自宅でできる温活・ツボ押しは 妊活のセルフケア でもご紹介しています。

不妊治療(西洋医学)との併用という考え方

東洋医学の身体づくりは、不妊治療に置きかわるものではありません。器質的な原因(排卵の状態・卵管・子宮内膜症や筋腫など)は、まず婦人科・不妊専門クリニックでの検査と治療が基本です。年齢という時間の要素もあるため、気になる方はご夫婦そろって、早めに受診されることをおすすめします。

そのうえで鍼灸は、冷え・血のめぐり・自律神経のバランス・月経前後の不調・妊活のストレスなど、身体のコンディションを整える「土台づくりの補助」として、タイミング法・人工授精・体外受精などの治療と並行して受けていただけます。

鍼灸で身体づくりをする理由や、西洋医学的にどう考えられているかは 妊活と鍼灸の効果エビデンスのまとめ、治療との組み合わせは 不妊治療の種類と併用 もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q 自分の体質タイプは、どうやって分かりますか?
A
お身体の状態やお話、脈やお腹の様子などをていねいに拝見してお見立てします。複数のタイプが重なることも多いので、その時々の状態にあわせて整えていきます。
Q お灸だけでもいいですか?
A
冷えが気になる方には、関元や三陰交などをあたためるお灸も心地よくおすすめです。体質にあわせて鍼とお灸を組み合わせてご提案します。
Q 不妊治療をしていても受けられますか?
A
はい。タイミング法・人工授精・体外受精などと並行して、身体づくりの補助として受けていただけます。治療の内容は主治医の方針を尊重します。

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※本記事は東洋医学の一般的な考え方を分かりやすくご紹介するもので、診断・治療や妊娠を保証するものではありません。効果には個人差があります。鍼灸は不妊治療に置きかわるものではなく、冷え・血のめぐり・自律神経・ストレスなど身体のコンディションを整える補助です。不妊の原因の診断・治療は婦人科・不妊専門クリニックが基本で、ご夫婦での検査をおすすめします。気になる症状がある場合は医療機関へご相談ください。

参考文献・出典

  1. 教科書執筆小委員会『新版 東洋医学概論』(医道の日本社)
  2. 『中医学の基礎』ほか 中医婦人科(月経病・不妊)に関する一般的な弁証論治の解説
  3. 公益社団法人 日本鍼灸師会/各種 婦人科領域の鍼灸資料

監修:中澤 和巳(あん摩マッサージ指圧師・臨床10年)

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この記事を書いた人

中澤 和巳のアバター 中澤 和巳 インヤン美容鍼・鍼灸治療院 藤沢院 院長

YIN' YANG 美容鍼・鍼灸治療院 湘南藤沢院 院長。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)/臨床10年。美容鍼と鍼灸で、自律神経の乱れ・不眠・頭痛・腰痛・めまいなど慢性化しやすい不調に、お一人おひとりの状態へ合わせて向き合います。医療機関の受診が必要なケースはご案内したうえで、無理のない施術計画をご提案します。

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